第215特別国会が四日間の会期を終えて昨日、閉会しました。衆議院の委員長人事は24のうち、予算委員長など11のポストを野党が取りました。与党は今までのように数の力で押し切ることができなくなりました。一方で、立民をはじめとした野党の国会運営能力も求められます。
さて、参議院では国会初日の11日(月)に尾辻秀久議長の辞任を許可しました。健康上の理由から辞意を固めていました。来年7月の任期満了に伴い政界からも引退する予定です。
私が強く印象に残っているのは平成20年、民主党参議院議員だった山本孝史氏が亡くなった際の国会での追悼演説です。与野党の違いを超えて「がん対策基本法」、「自殺対策基本法」の成立に取り組んだ同志に対し「先生、今日は外は雪です。寒くありませんか」、「あなたは参議院の誇りです。社会保障の良心でした」と涙ながらに語りかける姿は感動的でした。
一昨年、全国戦没者追悼式での参議院議長としての式辞も素晴らしいものでした。紹介します。
「父は32歳で戦死をいたしました。母は、残された私と妹を女手ひとつで必死に育ててくれましたが、41歳で力尽きてしまいました。母も戦死したと思っております。戦争がなければ、早く死ぬこともありませんでした。(略)父より50年、母より40年長く生きております。残された命は、戦争の悲しさを伝える語り部として生きてまいります」。
尾辻氏は自他ともに認める右派政治家です。しかし、「愛国」を声高に叫んで異なる意見を封じ込めようとしたり、不要な対立を煽ったり、相手を馬鹿にするようなどこかの“なんちゃって保守”ではない、寛容で温かみのある正真正銘の保守でした。
私はリベラルの立場にある一地方政治家ですが、尾辻氏の政治に対する姿勢を見習って精進したいといつも思っています。なかなかできませんが。