リベラルと保守

 年末に<「リベラル保守」宣言>という本を読んだ。著者は北海道大学公共政策大学院准教授の中島岳志氏。

 私は俗にいう「リベラル」に位置する人間だと思っている。しかしながら、議員活動において様々な判断をし、考えを思索する中で「これは保守という形の考え方なのかな?」という場合もあった。いったい、自分は本当にリベラルなのか?もしかしたら保守ではないのか?そもそもリベラルと保守の違いは何なのか?悩むほどではないが、議員活動をしている以上、ひっかかるものがずっとあった。

 本では保守思想とは何か?を中心に日本や海外の政治学者の考えを紹介し、リベラルと保守の本質に迫っている。簡潔にいえば「リベラル」とは「世界観を異にする人々が違いを超えて同意する原理」であり、「保守」とは「社会的経験値を<伝統>の中に見出し、それを守りながら斬新的な改革を志向する」としている。

 中島氏は「マナーや作法、ルールを前提とした人間交際が他者との差異の葛藤を引き受けながら合意形成するプロセスを生み出す」ことにリベラルと保守の共通項を求め、そして西部邁氏の「保守思想こそリベラルマインドを宿している」という言葉を紹介しながら「リベラル保守という新たな道もある」と結論づけている。要するにリベラルと保守に明確な境界線はないという事である。

 読了し、自分が抱えてきたある種の“矛盾”にひとつの答えが出た感じがした。そしてこの「リベラル保守」に対抗する思想、言葉は何か?とも考えた。それは本の中でも示唆されているが、「復古」、「反動」、「新自由主義」、「国粋主義」、「レイシズム」といったものだろう。

 政治は「リベラル保守」という考えを基本としながらその中で大いに議論をしていく。それが社会のためになるのではないか。

 

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