内にも外にも丁寧に!

 「地方消滅」問題を提起した増田寛也氏。岩手県知事や総務大臣等を歴任し、今は東大の公共政策大学院客員教授、日本創成会議座長といった要職に就かれている。昨日はその増田氏を講師に迎えて県内の市議会議員が秋田市に集っての研修会。演題は「地方創生~人口減少社会での地域が果たすべき役割~」。

 最近は地方の声が中央に届きにくくなり、東京に対する様々な規制もできなくなってきている。これでは、地方の人口流出は止まらない。しかし、東京に人が集まっても人口減少の解決にはならず、むしろ労働力が減退し、海外からの移民政策という話も出ざるを得ない、と問題提起された。

 そして、今が東京一極集中是正最後のチャンスであり、そのためには子育て環境の充実、仕事の場の確保、高齢者の生きがいづくりで今以上に地方を住みやすい場所にしなければならないと説かれた。しかし、「地方消滅」で主張された“地方中核都市”(←秋田県でいえば秋田市)への人口集中策については語られなかった。そこが一番聴きたかったんだが・・・(^_^;)

 最近はこの増田氏の主張に対する反論もたくさん出ていて、その方々が書いた本を読み、講演も聴いている。それを踏まえて自分なりに解釈してみると、増田氏はこの人口減少に何とか歯止めをかけなければならない、そのためには、もはや地方中核都市に人を集め、そこで地方が生き残るしかないと考えている。

 かたや、一方は人口減少をある意味において受けとめながら、地方には地方の住み方、楽しみ方があり、それを持続し広げていけば地方消滅なんてことにはならない、と考えている。だからこそ、増田氏の中核都市構想こそが地方を消滅させる愚策だと言っているのである。しかしながら、「地方重視」という根本については両者は同じなのであって、あまり対立せずに真摯に議論し、歩み寄っていけばいい政策ができるのに・・・とも思う。

 さて、真摯に議論・・・といえば一昨日の臨時議会で上程された一般会計補正予算案にあった増田庁舎改修。ここに至る経緯は先日のブログ(10月28日付)を参照していただきたいと思う。私は本会議で上程に至るまでの政策決定プロセスについて質問した。

 10月15日の増田地域づくり協議会において、当局は増田庁舎に移転する増田図書館について「図書スペース(コーナー)であって図書館ではない」と説明した。これが協議会委員の皆さんの猛反発を呼んだのだが、このような場で当局が説明したということは当局内において「増田図書館廃止」という政策合意があったとみるべきである。これが事実なら大きな政策転換である。しかし、私たち議会は「地域の図書館はなくす方針です」というような説明は一切受けたことがない。

 本当に教育委員会はそれを是認したのか、それとも教委の意向を無視する形の地域づくり協議会での説明であったのか。これは大変重要な問題だと思ったので私は単純に「どっちですか?」と質問した。まちづくり推進部長は私の問いには正面から答えられなかったが、最後は「政策会議で<図書館ではない>と決定した」と答弁された。ということは教委もそれを認めたということだ。議会への充分な説明もないままに。

 その後の教育長の答弁は「その都度、都度で表現方法、理解の仕方があるが(中略)政策会議で議論を重ね、今の姿となった」と言われた。今の姿というのは、地域の皆さんの反発を受け、そしてこれはあくまで推測だが、教委もいったんは<図書館をなくす>と認めざるを得なかったものを<図書館とする>方向に押し戻し、本来の図書館という機能にした、ということだ。

 この答弁を聴いていて思ったのは、当局内部での議論、議会への説明の仕方が全く不十分だということである。そして増田の住民の皆さんの反発を受けたのも地域の意見を聴かずに庁舎改修の内容を決めようとしたからである。これは様々な場面で“順番”を間違えてしまったことに起因している。市長はじめ幹部の方々はその部分をきっちり見つめなおしてほしいと思う。

 いくつもの「うーーーーん・・・」を抱えながら一般会計補正予算案は可決された。私も最後は“増田図書館”として移転されること、増田地域の一定の理解を得られる見込みとの判断で賛成した。それにしても今年度は当局の雑な行政運営が目につく。いったい何度同じことを繰り返すのか・・・と議会も呆れている。内にも外にも丁寧に、丁寧に!

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