人口約37万、群馬県最大の都市である高崎市。新幹線が停車し、高崎経済大学という全国から学生が集まる著名な学校があるなど、県庁所在地の前橋市よりも活気があるかなというのが私の印象です。ちなみに、8年前も厚生委で「こども発達支援センター」を視察しています。
ヤングケアラーと子育てに関連したSOSサービスについて学びましたが、ここではヤングケアラーの取り組みについて書きます。
高崎市は子育てから高齢者政策まで幅広い福祉分野でSOSサービスを導入しています。ヤングケアラーSOSサービスもその一環で、「高崎の子どもは高崎で守る」という富岡賢治市長の強い思いから実現したもので、ヤングケアラーに代わって家事介護等を行うサポーターを無料で派遣し、生活における負担軽減を図るという委託事業です。
昨年4月に教育委員会にヤングケアラー支援担当を設置し、相談窓口を一本化。ここには福祉分野に長けた職員も加わって「教育と福祉の融合」を図っています。相談に対して、ワーキングチームによる検討→ヤングケアラー支援推進委員会での審議という体系的なフローを経て支援の可否を判断。もちろん、派遣につながらなくとも、ヤングケアラー一人ひとりの事情に合わせた対応が可能となり、虐待問題にも有効とのことでした。
私がこの取り組みの説明で感銘を受けたのは「ヤングケアラーが何人いるか?という現状把握よりも、まず先に動くことでわかる」という担当者の言葉です。なかなか自分で言い出せず、かつ自分でもヤングケアラーだと気づかない子どもたちはたくさんいます。各自治体はまず何とか現状把握に努めようとしていますが、高崎市は逆。いることを前提に組織を立ち上げ、一人でも多くの子どもたちを救うという姿勢を鮮明にしています。
横手市にはヤングケアラーは今のところ一人もいないんだそうです(←議会での各答弁より)が、私はずっと疑問を持ち続けています。高崎市の担当者は「学校生活のちょっとした変化に気づくことができるかどうか」がヤングケアラーを見つけるポイントだと言われていました。何も横手市の学校の先生が児童生徒に対してきちんと向き合っていないとは思っていませんが、市教委もこうした取り組みを参考にしてほしいと思います。
渋川市の給食無償化も、このヤングケアラーSOSサービスもトップの子育てに対する強烈なこだわりで実現しました。いろんな意味で「首長のリーダーシップとは?」を考えさせられる行政視察でした。