西脇市は200有余年の歴史を誇る「播州織」で知られる播磨内陸地域の中核都市。そして高校駅伝の名門・西脇工業高校がある。今回対応して頂いた西脇市議会事務局の方が西脇工陸上部OB(しかも駅伝をやっていた)で視察の前にグラウンドを見学する機会に恵まれた。
ご覧の通り、普通のグラウンドである。野球部、サッカー部との共用という環境の中で練習している。曰く、「練習(施設)環境がいいから強くなるわけでありません。いい指導者がいるかどうかだと思います」。経験者の言葉は深く、重い。写真の石碑は全国大会初優勝を記念したもの。全国優勝する度に石碑が建てられている。
さて、西脇市では「自治基本条例」について学んだ。現在、横手市でもこの条例を制定するべく作業中であり、議会にもその条例案が示され意見交換を行ったところである。その中で焦点になったのが「市民」の定義。案では「市民」は「市内に居住する者、市内で働く者又は学ぶ者及び事業活動その他の活動を行う者又は団体をいう。」とされている。
解説によれば「活気ある自立したより良い地域社会を実現するためには、横手市に関係する人々がみんなで協力し合う必要があることから、市民の範囲を広げて定義しています。」とある。その通りだ。
しかし、議会側から出された懸念は主にふたつ。①この定義を拡大解釈し、ある特別な目的を持った市外居住の個人・団体が「私(たち)も市民」と主張する危険性がある。②住民自治の基本を定めるこの条例は横手市にとって最高位のもの。そこに書かれる「市民の定義」が横手市にとっての「市民」と解釈されてしまうのではないか。
西脇市自治基本条例の「市民」の定義も横手市とほぼ同じで議会との議論も専らそれに終始したという。私は西脇市の条文をずっと読んでいて、その“拡大解釈”に歯止めがかかっているものをいくつか発見した。それは●住民投票においてはそれぞれの事案に応じて参加資格を決める●市民の役割の他に“責務”を設けている●この条例は“最高”のものではなく、あくまで“基本”としている。この点が結果的に可決→制定された要因といえるだろう。
ちなみに横手市の案では住民投票に関しては同じような条文があり、“市民の責務”を思わせるような条文はあるが、はっきり“責務”とは明記していない。私は基本的に自治基本条例の制定には賛成の立場であるが、西脇市のように細かい懸念を払しょくできるような内容を最終案として提示してほしいと思っている。それがなければ継続審議or否決という可能性も大いにある。