安倍晋三氏が体調不良で内閣総理大臣を辞任してから10カ月が経とうとしています。朝日新聞が先頃より、7年8カ月という長期にわたった第二次安倍政権の検証記事を連載しています。今日は政治学者の御厨貴・東京大学名誉教授のインタビュー記事でした。
内容が私が感じていることと一緒でしたので、以下に抜粋します。
●官邸主導と政権交代可能な二大政党制をめざした平成の改革が全部裏目に出て、とんでもなく長く続く政権になった。
●政権に戻ったらずっと与党でいたいと考えた。政権を奪われる前みたいに党が割れることは避けようということ。それが暗黙の前提となった。安倍さんは自民党議員にとって政権奪還の恩人。物言えば唇寒しの自民党になった。
●安倍さんは選挙第一で、選挙で勝てば何でもいいとなった。説明しなくとも勝ってしまう。勝てばますます説明しなくなり、国会の重みが消えた。
●何かに手をつけて、とにかく前向きにやっているだけで、民主党政権より、ましだろうと見せる。説明しないでも、やっている感じを出せばいいということだった。
●他の政治家や官僚も「安倍さんが説明しないならそれでいいか」と努力しなくなってしまった。何も批判されない権力は危ない。
私は安倍政権を全否定するつもりはありません。例えば外交ではアメリカのトランプ前大統領とうまく付き合いましたし、いろいろと火種を抱える中国や韓国に対しては「対話のドアはオープンにしている」という姿勢を示していました。この分野では評価できると思います。
しかし、批判しなければならないのは抜粋の最後の部分です。様々な不祥事が明るみに出ても、知らぬ存ぜぬで真摯に説明しようとしなかった。責任は他人(←例えば佐川さん)に押し付けて、けじめもつけなかった。そんな姿勢が日本の社会全体にも蔓延し、モラルハザードが目につく世の中になってしまった。安倍政権が目指したはずの「美しい国」とは程遠い国になってしまった。これが、最大の「罪」だと私は思います。
横手市議会は全国の地方議会同様に国政で自民党を応援する方々が大半を占めますが、実はよくよく話をすると安倍政権に批判的な声も少なからずありました(←私の感触です)。安倍政権は本当の意味での「保守」ではない。それを物語っています。
菅首相にはぜひ、「モラルを守り、異なる意見も受け止める」真の保守政治を行っていただきたいと思います。