会派ニューウェーヴ視察研修その①~鎌倉市「通年観光」~

 鎌倉市・・・もはや説明不要の観光都市である。「増田の内蔵」で通年観光をもくろむ横手市。その先進地に学ぶものはないか?という事で鎌倉市を訪問した。

 鎌倉駅に着いてまずは昼食。「鎌倉丼」というご当地グルメを食した。

 この周辺では「鎌倉海老」と呼ばれるイセエビが獲れるそうで、そこからヒントを得たメニュー。一言でいえばエビの卵綴じ丼である。貪欲に新名物を開発しようとするその心意気はなかなかのもの。感心したのはこのお店の接客対応。「もてなす」というレベルではないにせよ、なんとなく客をいい気分にさせてくれる。そんな接客術を心得ているなあと感じた。さすが、有名観光地の食堂である。

 しかし、その後に市役所まで乗車したタクシーの運転手がまずかった。乗ってから降りるまで一言も発しない。「ありがとうございました」の挨拶さえなし。その理由は行政側の説明でわかった。要するに鎌倉市は観光地として成熟してしまったがために俗に言う「お腹いっぱい」の状態であるようだ。市民の中には「もうこれ以上、観光客が増えてほしくない」という意見が少なからずあるらしい。その証拠として、(鎌倉市は世界遺産登録を目指しているが)約30%の市民が「世界遺産にならなくても良い」と思っているというデータがある。

 さらに、鎌倉市は首都圏に位置しているので、着地型観光ではなく、通過型の観光地である。ゆえに観光地であるのだが、観光産業ではないという。意外にも観光でメシを食えていないのだ。「お腹いっぱい」と「観光産業ではない」。これが先ほどのタクシーの運転手の態度に表れてきている。

 しかし、そういった現実に対する捉え方もその人(組織)しだいである。現に昼食を頂いた食堂も「日帰りでもいいから、客に満足感を与えてまた来店して頂こう」という考え方だろうし、市役所から駅に向かうまでの帰りに乗ったタクシーの運転手は私たちに積極的に話しかけてきてくれた。そんなもてなしを受ければ「また来ようかな」という気になる。

 鎌倉市では通過型観光からの脱却を目指して、いろいろな取り組みを始めているという。「お腹いっぱい」という市民がいるのは事実だろうが、「観光地・鎌倉」の市民であるという誇りをもって日々暮らしている方が大多数なんだろうな、とゴミの落ちていない街を歩いて思った。

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