島耕作の農業論

 「島耕作シリーズ」の著者・弘兼憲史氏が“攻める農業”の立場から論を展開する「島耕作の農業論(光文社新書)」。

 漫画の中の島耕作はいま、会長職に就き、財界活動に力を入れ、農業を担当している。この本は内閣府の経済財政諮問会議民間議員でサントリーホールディングス社長の新浪剛史氏と作者の対談から始まる。ここでは農業を完全なるビジネスと位置づけ、日本は圧倒的に輸出額が少ないことを明らかにしている。そして、アメリカに次ぐ輸出額を誇るオランダを例えに産学協同とマーケティングの重要性、農地利用の規制緩和の必要性を説いている。

 弘兼氏は日本全国の“農業の先進地(例)”を取材している。大分県の植物工場、IT技術を駆使して安定生産をしている日本酒「獺祭」、近大マグロ。そして全体を通じて模範例としているオランダにも飛んでいる。これらが共通するキーワードは“合理化”だ。そこに日本農業の将来を見出している。

 もちろん、これまでの農政に対する批判も本の中で展開している。農地法、生産調整、補助金、農協・・・いわゆる保護されてきた農業から、普通のビジネスとしての農業への転換。その先に日本農業の発展→日本経済の復活を見据えているのである。

 私の短い感想・・・大学の農学部の重要性については「なるほど」と頷けるものがありました。

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