亡国の農協改革

 50年後の歴史の教科書には、「2015年に始まった安倍晋三内閣による農協改革が、日本の地域社会と安全保障を崩壊させ、日本国家滅亡への歩みを、後戻りできない形で進ませることになった」と記されるだろう。恐らくは「日本国」のものではない、別の「何かの国」の歴史の教科書に。

 経済評論家・三橋貴明氏の著書「亡国の農協改革(飛鳥新社)」はこんなおどろおどろしい書き方で始まる。この本の論の軸は「安全保障」。農業は国家の食料安全保障の基本であり、それを担う農協(JA)を改革(解体)することは国家の解体を意味すると警鐘を鳴らしている。 

 “攻めの農業”論者の「日本の農業は保護されている=既得権益」という主張にも各国とのデータ比較をもとに「日本ほど農業を保護していない国はない」と反論、世界最大の穀物産業を抱えるアメリカの言われるがままに農業改革を行おうとしていると断じている。

 JAが地域で果たしている役割についても、その成り立ちや「協同組合」の意味するもの、性質を紹介しながらわかりやすく説明し、だからこそ、JAはアメリカが画策している日本の食料安保崩壊を防ぐことができるのだと強調している。

 儲けを目的とした“商業農業”ではなく、国民の胃袋を満たすための“国民農業”に軸足を置くこと。すなわち、いい意味での内向きの視点は忘れるべきではないというのが三橋氏の意見だ。

私の短い感想・・・三橋氏の国家思想はかなり右寄りで、いわゆる安倍首相に近い。しかし、こと経済政策については目を疑うほど日本共産党の主張に重なる部分が多々ある。面白いです。

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