昭和46年11月、私が生まれる4ヶ月前に市制施行された多摩市は緑多き多摩ニュータウンの中心都市で人口は14万7千人。地方交付税の不交付団体だが、高齢化率が毎年1%ずつ上がっていて施行当時につくった公共施設の維持費にお金がかかり、その再編が今の市政の最大のテーマだという。ちなみに、「進研ゼミ」で知られるベネッセコーポレーションの本社がある。
視察項目は主に「議員間の自由討議」と「議会による行政評価」の2つ。説明者は遠藤ちひろ議会運営委員長。先日、40歳になったばかりの2期目の方である。
「議員間の自由討議」は横手市議会も議会基本条例の中で定められており、過去に常任委員会・分科会の場で数回行われているのだが、質疑の最中に自由討議に切り替わるきっかけというか、タイミングが難しいと感じている。
多摩市議会では、例えば安保法制や沖縄基地問題といった国政課題に関わる請願・陳情の場面で自由討議を行っているという。こういったテーマは会派や議員間で明確にその賛否が分かれるものが多いので確かに自由討議にはうってつけ。けれども逆に賛否が明確なので主義主張の言い合いでかみ合わなくなるといった課題もあるようだ。
ふたつめの「議会による行政評価」。横手市議会は決算審査で決算書に沿って評価しているのだが、多摩市議会は12年前から決算特別委員会改革として事業ごとに評価する「事務事業評価」を採用していた。10年間の評価制度の中で定着していたのだが、短所もいろいろと出てきた(例:事業数が多すぎて対象事業数が定まらない、しっかりと調査研究し、知れば知るほど事業の廃止まで踏み込めない等)。
そこで次なる一手として事業ではなく、例えば「交通安全の推進」という大まかな施策を評価するという手法に切り替えた。そして、その施策実現のために行われている各事業の優先順位に踏む込むことも決めた。事業の増額だけでなく減額に言及しなければ意味がないからである。
評価する対象施策が決まったらまずは各会派で評価指数(点数化)を行い、それをもって各分科会で評価し、まとめについては両論併記はしない。あくまで分科会としての見解をまとめあげる。ここは分科会長(常任委員長)の腕の見せ所となる。多摩市議会は委員会もネット中継しているのでここに至るまでの議論の経緯がすべて明らかになるという点はすごい。
もちろん、課題もまだある。しかし多摩市議会の「行政評価」はウチの決算審議の上の上をいっていることは明らかであった。そういった決算審議の改革を10年以上前から行い、さらに高みを目指している議会があることに刺激を受けた一日であった。