産業建設常任委員会行政視察その①~桜川市「重伝建保存地区の取り組み」~

 桜川市は平成17年、西茨城郡岩瀬町・真壁郡真壁町・同大和村が合併して誕生した人口約4万3000人の街である。ここの真壁地域に登録文化財をはじめとする伝統的な建物が数多く残っており、平成22年に茨城県としては初となる重伝建保存地区に選定された。

 研修の会場は「真壁伝承館」。本館の他、歴史資料館、図書館、ホールを兼ね備えた複合施設であり、もちろん外観は周辺のまちなみに調和したものとなっている。

 研修項目は東日本大震災時の重伝建地区での対応と「桜川市歴史的風致維持向上計画」の二つだったが、ここでは歴史まちづくり法に基づく歴史的風致維持向上計画について記す。

 合併以前より、旧真壁町ではまちなみ保存を目指す民間団体の設立、国指定史跡になった発掘整備事業、登録有形文化財制度の積極活用、「真壁のひなまつり」開催など歴史的資源を大いに活用していた。そして、合併後に景観計画の策定に着手、住民とワークショップを重ね、平成20年に歴史的風致維持向上計画を策定している。

 ここで説明された担当者が強調したのは「人」が大事ということである。この計画を策定し、歴史まちづくり計画に認定されるためには価値の高い建造物やまちなみに加えて“三代、四代と続く伝統的に行われている市民の活動“がないとダメなんだそうだ。桜川市には祇園祭があって、世話人制度やお手伝いする女性の参加、子どもたち・若衆の引き回しといった活動が行われていた。

 また、「真壁のひなまつり」はこの地域の歴史的風致を活かそう!という住民有志が始めたものであり、それによって伝統的な店舗・家屋・土蔵の一般公開が進み、地域文化交流が盛んになったという。行政と住民がお互い、いい意味で利用しあっているなというのが私の受けた印象である。

 重伝建保存地区の基本というか、スタートは「保存」である。まちなみを守ることによって、ここに住んでいる人をいかに残すか。それが第一であり、観光としての土台は本来求めていない。しかしながら、「守る」ものを良いと思って来てくれる方々をおもてなししましょうよ。それが桜川市の姿勢であった。

 「重伝建地区はお客様を選んでもいいと思います」。説明者の一言に衝撃を受けた。増田の重伝建地区のこれからを考える上でヒントとなる言葉であった。

 

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