平成14年当時、私は仙台に住んでいた。9月17日、平壌にて行われた第1回日朝首脳会談において、北朝鮮側は否定してきた日本人拉致について認め、謝罪した。そして、拉致被害者13名のうち4名生存、8名死亡、1名は入境確認できずという結果を伝えた。死亡者の中には昭和52年に新潟市で拉致された当時13歳の横田めぐみさんも含まれていた。
私はそのニュースを勤務中にネットで知った。仕事が終わり、会社を出て、近くの立ち食いそば屋に寄った時に店のラジオからめぐみさんの母、早紀江さんの悲痛な訴えが聞こえてきた。その声を聴き、私は泣いてしまった。そばを手繰りながら、何度も何度も手で拭っても、涙があふれて仕方なかった。
当時、拉致問題は「疑惑」の範囲でしか捉えられておらず、私もそうであったように多くの国民は無関心であった。「小泉訪朝」によって一気に世論が盛り上がったのはまだ記憶に新しい。しかし、以前も書いたように、「生存」とされた方々が無事に帰国の途についたものの、その後は進展がみられず、今に至ってしまっている。
私には横田めぐみさんと同じ名前の姉がいる。さらには、めぐみさんと姉、めぐみさんのご両親と私の両親、めぐみさんの弟さんと私は歳が近い。そして新潟県と秋田県と同じ日本海側に住んでいる。だから、私はどうしても横田めぐみさんとそのご家族に起こった出来事は他人事だとは思えない。
昨日は市民会館で拉致問題啓発舞台劇公演「めぐみへの誓いー奪還ー」があった。議会にもご案内があったので、観てきた。高橋市長が公演前の挨拶で話されたとおり、まだまだこの地域では拉致問題に対する関心が薄いように思われる。多くの方々が今もなお、北朝鮮で郷愁の想いを捨てずに生きている。そして、そのご家族も苦しみながら闘っている。その事実を、現実を市民の皆さんにも「他人事」ではなく、自分の事のように思ってほしいと願っている。
昨日は「救う会秋田」の皆さんが署名活動等を行っていた。その中には全若仲間の小野立・能代市議もいた。地方議会の末席にいる者として、私にできることは何か。真剣に考えている。