世界一のバラ園があり、安土桃山時代の茶の湯文化を牽引した美濃桃山陶の聖地でもあり、そして、織田信長の近習・森蘭丸(成利)所縁の地である可児市は岐阜県の南部に位置する人口10万1千人の街である。
可児市議会は議会改革の先進地として知られており、全国からの視察が絶えないが、唯一秋田県の来訪がなかったようで、私たち横手市議会が秋田から初めての訪問団となった。ここからして、秋田県全体の議会改革に対する鈍感さがわかる。だから、私たちは「議会改革度ランキング秋田県1位」という座に胡坐をかいているわけにはいかないのである。
可児市議会も議会改革全般に亘る話から始まった。地元ケーブルテレビで放送されている議会番組を視聴しながらの説明であった。
可児市議会は「二元代表制」を徹底して追求していた。そこから出た結論は当局と議会は「車の両輪」ではないということ。同じ車に例えるならば、議会は当局の「アクセルとブレーキ」にならなければいけないという事である。その通りである。
それを踏まえた数々の取り組みは
●名城大との連携(ゼミに参加し、意見交換し専門的知見を深める・議会報告会に教授と学生が参加)
●モニター・パソコンを活用した一般質問
●正副議長選挙にあたり、議場で演説会開催(質疑もある)
●議長と常任委員長が交代時にしっかりと引継ぎを行う議会運営サイクル
●議会提言を含めた予算決算審査サイクル(予算決算は常任委員会にしている)
●常任委員会の代表質問
等々である。
個人的にはいま、議会と大学が連携していくことの必要性を感じているので、名城大との連携の話が特に収穫がありだった。
さて、広聴の話。可児市議会の取り組みは主に議会報告会と地域課題懇談会の二本立てである。
議会番組での報告会の紹介。
形式としては岩倉市議会と同様にグループ分けである。最初は対面方式であったが、参加者の一部しか意見がでてこないという課題を踏まえての変更。議員2名に対して住民5~6名という割合で分けている。そして、進行もNPOの協力を得てコーディネーターを出してもらっているという。
そして、地域課題懇談会。可児市議会の特徴は高校生との交流が活発な事である。
この高校生との交流には適時、医師会や商工会議所、金融協会、選管、NPOといった団体もからんでキャリア教育としての人材育成を目標とした動きになっている。地元の各団体の協力体制も半端でない。そこには議長の「ココとからんだら!」という閃きと人脈が関係しているそうだ。議長のリーダーシップ、非常に大事。
このような議会報告会や地域課題懇談会で出た意見を、(前述したように)政策に活かすサイクルがあるのが可児市議会の強みである。はっきりいって、他の議会とのスピードがあまりに違いすぎて感嘆するしかない。
なぜ、こんなにも多くの取り組みが実現するのか?説明者のひとり、板津博之議員(総務企画委員長)が教えてくれた。
可児市議会は定数が22だが、その中で最大会派である誠楓会に改革派議員が多数いるという。要するに最大会派がエンジンとなって議会改革を引っ張っているという事だ。いい意味での“数の力”である。そして、議会運営委員会のメンバーに会派代表と常任委員長が入るという構成もミソ。ここで議長の“想い”を共有するのだそうだ。議長の改革に対する情熱、とっても大事。
以上、議会改革のリーダー的存在である可児市議会の取り組みであった。
後日、総括編をお送りします。