マーケティング

  大変遅れましたが、先月末の特別研修の報告です。

 場所は東京・日本橋。全国地方議会議員勉強会が主催するセミナーを受講しました。テーマは「地域政策におけるマーケティングの上手な使い方と活用例」。講師は明治大学特任准教授でビズデザイン㈱代表取締役の木村乃氏。三浦市の政策経営部長を5年間務めたこともあり、行政運営も経験している方でした。

 行政がその運営や政策立案にマーケティングの考え方を採用していくことは時代の流れとして必要。だが、企業(民間)と行政の目的は違うものであるし、マーケティングは進化してきている。その本質も変わってきている。だから、ややもすると、その手法を間違って学ぶ危険性がある。だから、行政なりのマーケティングの概念というのをきちっと持っていなければならない、というお話でした。

 ということで、以下にポイントを列記します。

★マーケティングの世界はマーケットイン(お客様は神様)からプロダクトアウト(お客様も協力)へ

◆マーケットイン
●マーケティングにおける顧客満足の考え方のひとつに「マーケティングミックス」がある。
●Product(何を求めているか)Price(いくらなら払えるか)Plase(どんな買い方を便利と思うか)Promotion(何に影響されるか)。
 
◆マーケティングリサーチ
●AIO分析、PEST分析等、様々な分析方法がある。行政がマーケティングによる調査をした場合、どの分析を前提に調査したのかチェックしなければならない。

◆行政におけるマーケティング
●企業⇔顧客に対して行政⇔受益者、行政⇔納税者。財源の提供者に対して、納得のいく使途を保障しなければならない。
●企業はサービスの向上分を売上、利益につなげられるが、行政の税収はほぼ同じ。漫然と住民サービスを向上させるだけでは赤字に陥り、財政破綻を招く。ここを理解した上で市民満足を考えなければならない。

◆プロダクトアウト
●利益追求から社会的責任へ
●責任、誇り、道徳、社会愛=商売という考え方に進化。
●澁澤栄一、近江商人、住友財閥・・・日本の道徳的商売がマーケティングの考え方の主流になってきた。
●「顧客を育てる」という考え方。

◆プロダクトアウトの考え方を行政に活かす
●Product(どのような価値を提供するのか)Price(受け取る価値と引き換えに受益者にどのような負担を求めるか)Plase(「価値」と「負担」の交換をどのような経路・場で合意・契約するのか)Promotion(どのような演出によって価値と負担の交換をする気にさせるのか)。
●住民が「欲しがっている」ものが価値があるとは限らない。行政が「受け取ってもらいたい」ものの価値を説明する。
●行政は統治機能。それが住民の幸せにつながるのであれば、いやがられることをやるのも行政の責任である。

 所感ですが、まず、今まで私が持っていたマーケティングの考え方が時代と共に変わってきていたということに驚きました。私が勉強不足だからかもしれませんが・・・顧客ニーズとウオンツを徹底的に追求する、いわゆるマーケットインだけでなく、いい意味での自己中心主義、プロダクトアウトの考え方を加味してマーケティング手法を考えていくことの必要性を感じました。
 
 そして、ぼんやりとは理解していましたが、企業視点のマーケティングをそのまま行政に持ち込むことの危険性も改めて認識することができたし、住民サービスの向上と財政健全化とのバランスについても考えさせられました。

 これからの行政運営で大切にしなければならないのはプロダクトアウトの考え方におけるマーケティングミックスのPlaseです。これが市民主体の行政運営につながります。大きな事業(政策)を行おうとする場合には住民が納得するプロセスを経て、議会の合意を得る努力をしていくべきです。

 

 

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