特別研修その②~島根県「しまコトアカデミー募集説明会」~

 島根県が月刊ソトコト編集部の協力のもと開催している「しまコトアカデミー」は関係人口政策の柱となる事業である。いろんなきっかけで島根と関わって「もっと結びつきたい!貢献したい!」と思っている首都圏の人たちが自分なりの関わり方を見つけていく連続講座。移住しなければ!ということでは決してないというのがポイントの一つ。

 特別研修二日目。横須賀から移動して私がおじゃましたのは東京駅から徒歩10分の京橋で行われた今年度第2回目の募集説明会。

「わざわざ島根にきていただくより、直接説明会を聴いてもらった方が良いのでは・・・」という担当者の方の配慮で、説明会の前後にいろいろと質問に答えてもらうスタイルにしていただいた。

 説明会はまず、参加者がもちろんお互い初顔合わせなのでテーブル別の自己紹介から。ざっと参加者は25名ほどか。当初は県出身者が大半だったが、最近は出身以外の方々も説明会に来るようになったという。進化してるということだ。

 その後、島根県の紹介→しまコトアカデミーの取り組み説明と続いた。で、これがメインだと思ったのが受講生OB3人によるトークセッション。やっぱり体験談を聴くとリアル感が出てくる。ここで共通していたのが「モヤモヤ感」。これもポイントである。

 3人はそもそも島根県出身で今は首都圏に暮らしている。地元を離れて生活していくうちに現状の自分や故郷に対するモヤモヤとした気持ちが湧いてきて、それを何とかしたいなと思っていたときにしまコトアカデミーを知ったのだという。故郷のために何とかしたい!だけでなく、自分そのものの現状を打破するために地元貢献の道を歩もうというのが、まさしく「緩くつながる」しまコトアカデミーの面白さである。

 トークセッションの後は講座内容の具体的説明。座学から始まり、島根県内でのインターンシップ。そして自分がどう関わるかを形にする「しまコトプラン」の発表。このプランが“卒業後”の各人の実践となる。応募すれば誰でも受講できるわけでもなく、15名くらいが丁度良いとのこと。
 
 しまコトアカデミーは6期(年)で83名が修了し、それぞれの立場や考えで島根県とつながっていて、もちろん移住してしまった人もいる。講座は一昨年からは大阪でも始めている。関西も島根出身者は多いですもんね。

 担当者に今後の取り組みについてお聞きした。
●しまコトアカデミーは少数精鋭の関係人口政策だが、単純に「数の拡大」という視点も考えていかなければならない。
●しまコトアカデミーは、いわゆる「関係案内所」(←詳しくは関連書籍を参照してください)の役割を果たしているが、「場所」としての関係案内所もつくらなければならないと思っている。
●高卒で首都圏・関西圏に出てきた若者の取り込み。そこに至るまでの教育課程。

 横手市も今年度から「応援市民学校」を始める。今のところ、横手は横手なりの進め方でOK!と私は思っているが、この事業の将来構想を含め島根県の取り組みは大いに参考になる。交流人口や移住政策は自治体間の少ないパイの奪い合いになるが、こと関係人口はその限りでなく、共存できる可能性がある。学びあうことは大切であり、これからの人口減少社会においては競争という概念は主流とはならないと思う。

 

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