10増10減案

東大の元学長である佐々木毅氏が、昨日の地元紙に衆議院選挙区の「10増10減」案について述べています。

いわゆる「1票の格差」問題解消のために、都道府県の議席数は一昨年の国勢調査に基づくアダムズ方式というもので配分される案です。この通りになると、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知という大都市圏が増え、宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎が減ります。

この案には国会議員を多く抱える自民党を中心に、「地方の声が届かなくなる」といった異論が噴出しています。これに対して、佐々木氏は「議員は<地方代表>ではなく、あくまでも<国民の代表>であることを前提とすべきだ」と指摘し、1票の格差を是正しながら各都道府県に一定の議員数を配分する必要性を主張。そして、議員定数削減の流れに警鐘を鳴らしています。

佐々木氏が言っておられる「(国会議員は)国民の代表」という考えは、私もその通りだと思っています。しかしながら、それには国会は外交や安全保障といった国の根幹に関わる事項のみを議論し、その他については地方自治体に任せるという、いわゆる「地方主権」が確立されていなければなりません。そうした仕組みが出来上がっていない現状において、国会議員に「地方代表ではない」ことを求めるのはいささか酷な気がします。

また、議員定数削減について氏は「<身を切る改革>と称して、定数削減に走りやすい体質が議員にはある。肝心の定数問題をきちんと議論せず<地方の声が届きにくくなる>というのは自業自得」と述べています。でも、議員定数削減は有権者が常々声高に求めているものであり、これに反する発言をしたとたんに「自分たちの身を守ろうとしている」と批判されるのは必至。そこはきちんと理解しなければなりません。

地方自治体が国から権限移譲される仕組みをつくるべく、声を挙げること。そして、国民の皆さんから「誰が議員になっても何も変わらない。だから要らない」と言われないように仕事をし、それを伝えていくこと。このコラムを拝読して、改めて思ったしだいです。

 

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