私の一般質問登壇は全体では12番目だった。最終日の登壇というのは、最初のうちは「まだ時間があるから」と余裕をかませるし、初日、二日目の方々の議論を聴いて自分の質疑に活かせそうなものをメモしたりといい面もあるのだが、実際、既に登壇した方々のホッとしたような、解き放たれたような顔を拝見すると「最初にやっておけばよかった・・・」という思いも出てきます。ま、二日目がちょうどいい日程なんでしょうね。
ということで、一般質問の内容です。長いですよ。
農産物のブランド化。ブランドは市場が決めるものである。自らが「これがブランドです」と言っても市場が認めてくれなければ何の意味もない。商売の世界なのである。しかし、横手市はあえてその商売の世界に踏み込んだ。それをまずは受け止めて、では行政がブランド化を成功させるためには何が必要なのかを市長と議論したかった。
まずは目標である。これはもう共通理解はある。「農家所得の向上」だ。しかし、それだけでは曖昧である。明確な数字が求められる。しかし、「第二次総合計画」にも「第二次農業振興計画」にもそれらしき数字は見当たらない。唯一、見つけたのが「よこて農業創生大学事業」の根本となる「地域価値創造拠点整備基本構想」にある年間所得420万円という数字。これが目標としてのゴールなのか問うた。
答弁は「それ(420万円)をもってブランド化の成功ではない。何の目標を持たずにブランド化といってもモチベーションが上がらないので、スローガンを掲げた」。数字目標を持たずにスローガンだけではモチベーションは上がらないと思うのだが。
次に問うたのは、ブランド化成功のための必要条件。ターゲティングと(ライバルを設定した上での)差別化について。
ターゲティングとは顧客層を設定すること。何を誰に対して売り込んでいくのか?どこのスーパーの棚を取りに行くのか?どのレストランに卸すのか?である。これに関しては、ブランドを4つに分類してそれぞれ狙いを定めているという答弁があった。もっと詳細なターゲティングは必要だと思ったが、ここで突っ込むと時間がなくなると思ってやめた。
そして、差別化。私のこだわりは「ライバルの設定」だ。産建常任委員会視察で新潟市に行ったときに担当の方より「大田市場で<ウチは日本一>と言っても通用しない」と言われた。全国からいくつもの自治体が農産物を持って、あらゆる角度から「日本一」をアピールしに来る。必要なのは「ウチは●●と較べて、●●が違います」と明確にすることである。
答弁は山内にんじんを例に挙げて「栄養素が優れているので、そういう視点から考えていきたい」だった。どこと較べて栄養素が優れているのか?これをはっきりさせなければモヤっとした差別化になる。
さらに問うたのは「いつまでブランド化を成功させるのか?」だ。この事業は当然のごとく税金を使っている。医療や福祉、環境といった市民にとって必須なサービスを展開するのとはわけが違う事業だ。だから市民の皆さんに「いつまで」という約束をしなければいけない。それが行政の責任だ。
答弁は「一朝一夕にはできないが、3年~5年を目途に成功させる」であった。う~ん・・・
そういう意気込みならそれでいいのだが、市長は過去に「最終的な目標は京野菜や加賀野菜に並ぶ横手ブランドの確立」と発言されている。京野菜は「京都」という問答無用のブランドに野菜をくっつけて27年もかかってブランド化させた。それが最終目標なのに3年~5年とは?
市長の答弁はこうであった。「<京野菜>というのはあくまで例えでして・・・」。もう返す言葉はないですね。でもそんなこと言われたら市長の全発言が「例え」なんだと思ってしまいます。
最後、農産物からは離れるが、横手全体のブランド化に関して聞いてみた。どうやら市長はそれを志向しているようなので。ブランドというのはそれぞれの努力の積み重ねの結果である。であるならば、市職員が「横手のブランド化」のためにやるべきことは何か。それはたった一つ、「市民満足度の向上」だ。それをやり続ければ、市長が「ブランド、ブランド・・・」と言わなくても自然と横手はブランドになる。
その想いを市長と共有したかった。この部分が佐藤誠洋議員に「オメの質問はスマートすぎる、キレイに終わろうとしている」、寿松木孝議員に「オメは優しすぎるなだ」といつも指摘される所以であるが、やっぱり最後ぐらい想いを共有したかった。
けれども、伝わったんだが、伝わっていないんだがよくわからない答えが返ってきた。私の片思いに終わったようです。
今回の質問。裏テーマがありました。「行政が税金を使って事業することの重み」と「トップの言葉の重み」。そのうちの、トップの言葉の重みが「大荒れの議員懇談会」で露呈します。
次回に続く。