ヤンマーといえば、惜しまれつつも数年前に終了した「ヤン坊マー坊天気予報」が有名である。今はサッカーJリーグのセレッソ大阪の母体として知られている日本有数の農機具メーカー。
行政視察の最終日はそのヤンマー㈱東京支社を訪問し、これからの農業に農機具メーカーとしてどんな役割を果たしていくかといったことをお話しいただいた。場所はJR東京駅八重洲口近く。「ああ、あの建物ね」と思い浮かべる人も多いだろう。
ヤンマーが目指すのは「持続可能な農業」である。そのためには、農業を産業にしていかなけれなならない。前日に伺ったみずほの村市場の長谷川社長と同じフレーズが出てきた。「儲かれば後継者はできる」というシンプルな考えだ。
コスト、販路、収益。農家が抱えるこの課題を克服すべく、ヤンマーはICTを使った取り組みを進めている。コニカミノルタと手を組み、無人ヘリ技術を応用して開発した「リモートセンシング」はほ場全体を撮影し、カルテ(生育マップ)をつくることができる。
そして、「スマートアシストリモート」はIOTによる営農支援で、ほ場情報管理や、作業記録管理、機械のエラー、盗難、保守といったあらゆるサービスを用意したシステムである。
もちろん、クボタやイセキ、そして新たに参入してきたコマツといったライバルに勝つためにどう差別化を図っていくか、という企業としての生き残りを賭けた戦略が必要になってくる。というか、もう戦略はとっくにできているのだろう。
農機具メーカーが「農業者のために」という顧客第一主義の視点でさらに技術力を高めていくその先に、農業の新時代が待っているのかもしれない。しかしながら、農業者そのものの意識が変わらなければ意味がない。産業としての農業、環境保全としての農業、そして食糧安全保障としての農業・・・様々な顔を持つこの国の農業の「あるべき姿」とは?正直、私の答えはまだ見つかっていない。